おすすめミステリ10 前編
気分で選びました。来月やったらまた変わると思います。また、4月に入って一人暮らしを始めて、読み終えた本はすべて実家に置いてきてしまったので、すべて曖昧な記憶に基づいて書いています。間違った情報や、誤字脱字等ありましたら教えてください。
我孫子武丸「殺戮にいたる病」
叙述トリックものです。
これは本来あまり言わない方がいいのですが、僕は言ってもいいと思っています。「何が仕掛けられているのか、僕はもう引っ掛かっているのか」なんてビクビクしながら読み進めるのも、楽しい読書体験です。注意すればする程、引っ掛かった時の「やられた!感」も増しますし。
これは叙述トリックものの中でも、シンプルな分、かなり巧みだと思います。
ただ、残虐描写&性描写が相当厳しいので、苦手な方は避けましょう。
我孫子武丸「探偵映画」
再び我孫子武丸先生。かなり特殊なミステリです。
探偵映画を作っている最中に監督が失踪。しかしその監督は徹底的に台本を秘密にしており、スタッフ・役者含め誰も真相を知らされていなかった。残されたスタッフ・役者達は、撮影済みのシーンから犯人を推測しようと試みるのだが、役者達は当然目立ちたい訳で、なんとか自分の役を犯人にしようと色々画策し始める…。
と、こんなあらすじを思いついた時点で素晴らしい作品なのは間違いないですし、その試みをしっかりと成功させ、面白い作品に仕上げています。凄い!
有栖川有栖「孤島パズル」
素人探偵・江神二郎の活躍する学生アリスシリーズの長編2作目です。
完成度的にも、僕の好み的にも、本当だったら3作目の「双頭の悪魔」を入れたいところなんですが、「孤島パズル」と「双頭の悪魔」は直接的な続き物ですから、是非こちらから読んでください。
今回10作を選んで、どうにも普通のミステリに慣れた人が喜ぶような「変化球」が多くなってしまったのですが、これはド直球の本格。
「島に旅行へ行くものの、何者かによって外との連絡手段は絶たれ、迎えの船が来るのは数日後。そして殺人事件が起きて…」
まさに王道ですね。
変化球に疲れた人も、これからミステリを読み始める人にもオススメです。
また、これは僕が初めて読んだ本格ミステリだったりします。そういう個人的な思い入れもあって、これを10選に入れました。
歌野晶午「密室殺人ゲーム王手飛車取り」
「密室殺人ゲーム2.0」
2冊で1つの作品だと思うので、まとめて紹介します。
一般的にミステリは
誰がやったか?(WHO-犯人)
何故やったか?(WHY-動機)
どうやってやったか?(HOW-トリック)
以上の3つを解き明かすことが主眼のものがほとんどですが、この作品において WHO とWHY の解明はほぼ取り扱われません。
ネット上にて匿名の人間が集まり、誰か1人が密室殺人などの不可能犯罪を行い、どうやって殺したか(HOW)を他のメンバーに「出題」する。正解が出れば、次はまた他の誰かが殺人を行い…これの繰り返しです。
つまり、誰がやったか、何故やったか、は初めからハッキリ分かっている訳です。犯人は出題者ですし、動機は「奇想天外なトリックで人を殺したい」のみ。
短編集としても大変優れていて、登場するトリックは独創性に溢れるものばかり。
そして、全体を通して長編として読んでみても、ラストの展開には「あっ」と言わされます。
しかし、このタイトルはなんなんでしょうか、軽薄さを出すためにわざとやっているんでしょうけど。
前編はここまで!
残りの5冊は気が向いたらまた書きます。